■嬉々♥ - 柴咲コウ

嬉々嬉々♥ - 柴咲コウ
Release 2007/04/25

女優とアーティストという2つの才を重ね持つ天才・
柴崎コウの3rdアルバム。

全編を通した民謡調のアレンジの中で
濁りの無い彼女の歌声が響きます。

(2008/04/14 せっせと手直し)
「invitation」で引っかかった自分には当たりと公言できるアルバム。

たまにズッコケたシングルをリリースする彼女であるが故か、そういう意味ではアルバム曲はどれも
彼女もアレンジャーも正に「どれもがシングル候補」的に力を入れた、相当な力作と感じられました。
事実、どれをシングルとして切っても違和感ない出来。


とは言え、シングルばかりで13曲構成したベストアルバムを一枚のバランスから評価した場合、
果たして名盤ばかりであると言えるでしょうか。
全体的に(元々削るほどシングルが多いとはいえ)肩の力が入りすぎた楽曲ばかりで構成され、
60分弱で聴くにはちょっと分量が多すぎるかもしれません。

アルバム曲どれも削れないのは分かるけど、軽い曲をもうちょっと挿入してくれた方が
流しやすかったかもね。


シングル曲からの世界感を狭めもせず広げもしない様にアレンジのマンネリさが
危惧されないこともないですが、柴咲自身の歌手としてのクオリティの高さを感じるには十二分な作品。
ゴーストの存在すら疑ってしまうかのような完璧な本人作詞といい、並々ならぬセンスを感じられます。


歌手活動が副業とも言える彼女が、レコード会社に「本格派」と担ぎ上げられ
商業ポップスを乱発する自称アーティストらよりも一段も二段も上の深い音作りが出来るのは…
いい料理人にめぐり合えたからなのか、やっぱり素材がいいのか、そういう時代なんでしょうか?



総評 ★★★★




全曲レビューは続きから↓




この色は一押し曲です。


1. 嬉々

手堅くまとめた表題曲。
引きずるような重い歌い方と、キーボードプログラミングを筆頭とした軽快なリズム隊とが若干不一致。
核となるシングル曲の良いトコ取りしたような印象でしかないんですが、ゆえに聴きやすい無難な出来。
Cメロから生かされてくる緊迫感が最後のサビを経て、暖かいメッセージを届けてくれます。


2. at home

家族を題材としたアジアン風歌謡曲の12thシングル。
テーマといい歌い方といい、ええいああ〜と歌いたくなる衝動に満ち溢れてますね。


3. regret

盛り上がりそうなところで寸止めを喰らう、曲全体のじれったい感じが歌詞にもばっちり当てはまってる曲。
しっかり辿らないと今何処のメロか忘れがちになるほど。それゆえ最後にあっさり終わるのが残念。
編曲はtr.1と同じようでマンネリ気味。


4. invitation

打ち込みトラックとギターとの兼ね合いの中、ストリングスが出張ってくるJ-POPらしい曲。
ハイテンポなのに弾け切れない柴咲の歌詞とボーカルがもどかしさを最高に演出する。
爽やかなのに切ない、不思議なサマーアンセム。
ギターも過去4曲中一番目立つが、石成正人さんだったのね。ラストのプレイは最高。
ジャンルを越えて柴咲コウという1アーティストとしての存在感を光らせる力強い曲。


5. - toi toi -

柴咲が犯罪防止のビデオみたいな朗読をし始めます。どうすればいいんだ。


6. 甘いさきくさ。

「定評のある」らしいバラードタイムに突入。
まったりした空間にやはりサビだけはキャッチーで一発で耳に残ります。
絶賛も酷評も出来ないありふれた歌謡曲だけに安定感たっぷり。


7. 分身

Bメロの「かたちにはまらないやり方もある」の部分で一旦メロディーラインが崩れますが、
こういうネタっぽさは好き。曲自体はネタもシャリもないド真面目で暗いバラード。
ボーカルを引き立たせるためにシンプル極まりないアレンジを施していますが、
その歌が歌詞も含めて難解すぎて解釈に困る。


08. interference

ラテンに似たリズムにブラスが響き合う、やっと息抜き出来る軽い曲。
歌詞も珍しく聞き流せる緩い感じなのに、いかにも歌い辛そうに歌うボーカルで台無しにしかけてて。


9. サカナカナ

tr.04にドラムンのトラックを乗せ、ハウスの要素をより色濃くしたら出来上がった曲。
兄弟曲として見れば試みとしては面白いと思うが、どうも二番煎じの感は否めません。


10. ひと恋めぐり

昼ドラ用として小難しさをとっぱらったポップス一直線のバラード。
ベタベタと重ねすぎなコーラスとストリングスを多用し、
とにかく泣けと連呼するようなBメロ→サビの盛り上がりなど今までのドラマ用シングルと何ら変化が
無いように思われますが、それらにサブイボが立っていた自分も今曲は気に入ってしまいました。
ボーカルの表現力が着実に上昇している?
サビの歌い方はなんだか安藤裕子にも共通するような物もあるようなないような。


11. 

前曲とは対極に、ドラマタイアップにしては珍しく陰鬱で濃い世界観が広がるダークなバラード。
いつもの民謡調のアレンジとあまりにもオーバーワーク過ぎるストリングスの重ねっぷりに潰されない、
ひたすら力強いボーカルが一筋の光を与えてくれるよう。
マニアックでネガティブなだけでない、歌謡曲の暖かみをもその芯に内包した名曲。


12. うさぎ

石成氏の軽快なギタープレイが爽快感を一気に跳ね上がらせる、ようやくミディアムテンポの曲。
歌謡ポップスという特質上どこかで既聴感があるのは仕方ないとして、ここではボーカルが
もっと可愛らしく歌っても良いと感じた。それでも春らしい健やかさがお気に入り。


13. カレンダー

本アルバムの憂鬱さを全て吹き飛ばすかのようなドラムンベース風味のアップナンバー。
やっと終わり!と叫びだしそうなボーカルの微笑ましいほどの開放感が
こちらの悩みも明後日の方向へと連れてってくれるハッピーさで締め。
頭使わない自然体で綴った歌詞といい、柴崎自身の器用の大きさを最後まで実感。



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アジアン・ポップスアジアン・ポップス(Asian pops)はアジアの歌謡曲のことであり、全アジア共通の流行音楽市場ではない。非常に曖昧な語であり、日本でアジアン・ポップスと言う場合は日本の歌謡曲は指さず、東南アジアのそれも含むこともあるが、大抵は韓国ポップス(K-

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